澤井克紀 元経営管理管理大学院 教授メッセージ


sawai20160831 このたび、京都大学経営管理大学院が創立10周年を迎えられましたこと、心からお祝い申し上げます。
 私は、2010年度から2014年度までの5年間、プロジェクト・オペレーションズマネジメントコース及び国際プロジェクトマネジメントコース(以下、IPROMAC)の担当教員としてお世話になりました。国際開発プロジェクトに長年従事してきた実務経験を、大学での教育・研究、しかもビジネススクールという場においてに如何に活かすことができるのかは非常に悩ましい自らの課題でしたが、先生方、事務局の方々、そして学生の皆さんに多くを助けられ、何とか大過なく過ごすことができましたし、私自身にとっても非常にエポックな5年間だったと思っています。
 私が在任中は「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(グローバル30)」が
本格化し、2011年4月にIPROMACが始動して初めて学生を受け入れたこと等、「グローバル」が一つの流行語になっていた時でもあります。グローバル人材に何が求められるのかといった議論も学内外で盛んに行われていましたが、どれも腑に落ちるものではありませんでした。また、大学の国際化も非常にエネルギーと手間のかかる話で、部局の負担も大きいものです。恐らく、大学はグローバル人材を育成することではなく、「グローバル」に目覚める機会を学生に提供することが求められており、結局のところ、自由な学風のもとで創造的に勉強した者が、将来グローバルに活躍できるのかもしれません。その意味において、留学生が多く、国際コースもある経営管理大学院は、グローバルを疑似体験できる学びの環境であって、非常に恵まれているのではないかと思います。その環境を活かしきれるかどうかが問題だと認識していました。

 IPROMACの第一期生は、韓国、ベトナム、台湾、中国からの4か国、計6名の学生でした。学生のほうも、IPROMACがどういったものなのか不安があったに違いありません。学生が期待していたMBAコースとプロジェクトマネジメントコースとの認識のズレが多少なりともあったと思います。学生からは、マーケティングの授業を設けて欲しい、日本のプロジェクトの現場視察の機会が欲しい、会計のワークショップにも参加したい等、いろいろな要望が具体的に出てきました。その都度、学生と直接対話を重ねながら、共にIPROMACを造り上げてきた感が強くあります。第二期生のときでしたが、二人の学生が私の研究室に来て「一年生だが、二年次の授業を受けたい」と涙ながらに訴えたことがあります。経営管理大学院は段階的履修をカリキュラム・ポリシーに掲げていますので、「それはルールとして認められない」と応じたところ、学生は納得なかなか納得せず、一時間以上も議論した覚えがあります。IPROMACの学生は日本人学生とは異なり、授業中だけでなく、その運営についても結構ストレートな物言いをします。それは事務局の皆さんには大変な負担だったかもしれませんが、コース内容を絶えず改善させていくための協働作業には不可欠な貢献であったと感謝しています。そのIPROMACも5年目を迎え、今では毎年10か国以上から10数名の学生が学ぶようになっており、順調に発展していることは喜ばしい限りです。多様性のある学生同士が互いに刺激し合える環境はとても貴重ですから、IPROMACの学生のみならず、大学院全体として、その環境をますます活かしてもらいたいものです。

 一方、通常の2年コースの学生に対するグローバルキャリアの育成支援も、私の在任中にかなり整備されたと思います。予算確保にも「グローバル」というワードが外せませんでした。特に、2012年度からの2年間は徳賀院長のリーダーシップのもと、学術交流協定校を12校増やして派遣交換留学生の増加を図ったり、世界の11校のビジネススクールの長を招いて「ビジネス分野の高等教育と研究」に関する国際会議を開催したり、さらには、国立台湾大学管理大学院とのダブルディグリー制度を新設したり等々、かなり短期間に大胆に取り組みました。現在は、派遣交換留学生も毎年10名程度を出しているようですし、ダブルディグリー制度も相手校から毎年2名を受け入れていると聞いていますので、確実に成果が見えてきたようです。学生の皆さん、自由に、いろいろなことにチャレンジできる時をやり過ごすのはもったいない、もっともっと好奇心をもってグローバルに関心を高め、こういった制度、機会を勉学に活かして頂きたいと期待しています(写真:2012年2月 IPROMAC第一期生と九州研修旅行にて)。

 在職中の5年間、本当にいろいろなことを学ばせて頂きました。「大学のマネジメント」も内側から観察できたこともなかなか興味深いものでしたが、教務や運営等理解できないことも多々あり、私自身どこまで貢献できたのかと忸怩たる思いもあります。ただ、授業やワークショップを通じて学生と議論できたことは、私にとって何にも代え難い経験であり、宝物です。「学生First」がいいですね、ありがとう。

 最後に、経営管理大学院のますますのご発展をお祈り申し上げます。

 

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