宇野伸宏 元経営管理管理大学院 准教授メッセージ(現 京都大学工学研究科都市社会工学専攻 准教授)

「経営管理大学院の教員としての10年を振り返って」

uno 20160913 経営管理大学院(以下、GSM)創立10周年、本当におめでとうございます。GSMの創設期から関わることができた者の一人として、心よりお祝い申し上げたいと思います。

  私のGSMとの関わりですが、2006年に発足する前から、元の所属部局の工学研究科の土木系専攻において、社会人の継続教育を主眼とした新たな教育組織 (専門職大学院)について検討するためのワーキングが立ち上げられ、そこに私自身も参画していたことに端を発します。正直、私自身は土木工学なかでも交通 工学・計画をバックグランドに持つ教員であり、GSMの創設時にメンバーとして参画しないかとのお誘いを小林潔司教授からいただいた際には、果たして私に GSMの教員が務まるのかという大きな不安と、新しい大学院の誕生およびその後の成長に立ち会いたいという好奇心が入り混じった感覚にとらわれたのを覚え ております。

  また後の設置準備の作業の中では、同じ京都大学内で部局による風土の違いの大きさに、ある種のショックを受けたことも記憶しています。例えば、GSMの設 置のための書類提出の期限が迫る中、それまでの工学系での限られた私の経験では、いわゆる走りながら考えるということで、書類の作成作業を優先し、あとか ら検討の熟度を上げるための議論を補うことが多いと感じておりましたが、経済系の先生方を中心に議論が白熱し、その末席に座りながら、時間が迫る中、いつ から書類作成が始まるのかと内心ひやひやしながらその様子を眺めていたことも鮮明に覚えています。一方、元部局の末端の一教員ではなかなか無いことであり ますが、部局長の先生と平場で意見交換する機会を得たり、自分の提案が部局の諸々の動きと直接連動したりという経験を得ることもでき、小さい部局のダイナ ミズムを驚きを感じながら、ある意味楽しむことができました。

  経営管理大学院の運営の中で、工学系のバックグランドのみを有する教員が、いかにして学生を指導していくかという点は、正直、非常に悩ましいものではあり ました。私が担当していたプロジェクト・オペレーションマネジメント(POM)、サービス価値創造(SVC)の各プログラムのワークショップ(以下、 WS)、後に担当した国際プロジェクトマネジメントコース(以下、IPROMAC)のWSにつきましては、いずれも担当すべき学生の人数が毎年1~2名程 度であったことに救われた部分があります。この規模感であれば、私ができることは教育の原点に立ち返り、できるだけ丁寧にコミュニケーションをとることだ と考え、不十分ながらも、学生の皆さんの話を質問があればできるだけ迅速に返答をするといった基本的なことの実践を心がけてきました。多様な国籍、バック グランドを持つ学生の皆さんと、1対1のコミュニケーションが求められましたが、学生の多様性、興味関心の広がりから、逆に多くのことを学ぶことができた とも考えております。なかでも、久保田善明教授(現 工学研究科社会基盤工学専攻)とともに久保田・宇野WSとして共同で運営していた2年間は、WSの取り組み、成果としても、とりわけ充実しており、多様な モノの見方、考え方を有する教員、学生の共働がプラスの相互作用を引き起こす場面を体験することができました。

  2011年に設置されましたIPROMACは、GSMにとりましても大きな挑戦でありますとともに、私個人にとりましても新たなチャレンジの場でありまし た。講義やゼミ、学生指導も、すべて英語で行うことが求められるという実質的な教育の国際化は、これまでにはない経験でした。例えば、当初2時間連続 (180分)の講義を英語で行いますと、頭が文字通りオーバーヒートしたようになり、しばらくは放心状態となり言葉が出なくなっておりました。一方、2年 経ち、3年経ち、英語での講義を繰り返すうちに、あくまでも(かなり甘めの)自己評価ではありますが、多少コミュニケーションも円滑になり、学生の皆さん の活発さの助けもあって、双方向型の講義も成立するようになってまいりました。
このように振り返りますと、GSMでの10年は教員としての職務を 何とか果たしつつ、私自身にとりましては、大学人としてブラッシュアップするための有意義なOJTの機会をいただいたようにも思えます。改めて、このよう な貴重な機会を与えていただいた先生方、職員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。私の限られた経験からも、多くの工学系をはじめとする他部局の先生方 にも経営管理の活動をご覧いただくとともに、実際にGSMの教育研究活動に何らかの形でご参画いただく機会を持っていただくことを通じて、「知GSM派」 の方を増やしていただくことを、個人的には希望したいと思います。

  私が申し上げるまでもございませんが、GSMは平成28年度から新たに博士後期課程も有する大学院となりました。教員の学問的バックグランドや職務経験の 多様性は、GSMの特色の一つでもありますので、この点は維持増進していただきながらも、将来的には本学の博士後期課程修了者が、母校の教員として活躍さ れる姿も見てみたいと密かに考えております。

 最後になりましたが、経営管理大学院のご発展、ならびに、ご所属の先生方、職員の皆様、そして修了生、在校生の皆様のご健勝、ご健康をお祈りしまして、この駄文を閉じさせていただきたいと思います。

 

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