藤本 賢司 さん

京都大学経営管理大学院 観光経営科学コース 2022年度修了生

Japan Exploration Tours JIN-仁 代表                      
富士吉田市案内人組合公認 富士登山ガイド
関西国際大学 非常勤講師 
 

数あるビジネススクールの中でGSMを選んだ理由

藤本 賢司 さん

京大の観光MBAを、迷うことなく選んだ。直感めいた瞬発力で決めたが、振り返って考えると理由は下記の通りである。

①観光都市京都:家(大阪)から通える。京都で観光の仕事をしているので相乗効果を期待。
②観光MBA:私はインバウンドの観光の事業を自身でしているので、観光庁肝入りの観光MBAがあるのは何より魅力的だった。
③京都大学ブランド:面白い授業が多そう、面白い先生や学生が多そうという感覚。京大への憧れめいたもの。

観光MBAの門戸を叩いた直接的なきっかけは、コロナであった。2018年に起業したが、手探りの経営で壁にぶつかり体系的に経営を学びたいと考えていた折で、コロナで時間ができたのは「渡りに船」でもあった。

GSMで学んだこと

藤本 賢司 さん

一番は、物事の見方、考え方のフレームワークをたくさん身につけることができたことだと思う。講義、グループワーク、発表(アウトプット)を通して知識となり、自身の仕事での実践を経ると、血肉となる感覚がある。
◯◯先生だったらどう考えるか、同級生の△△さんだったらこう言いそう、というような頭の中のモデルが増えたのは財産である。
意外なところでMBA後の変化を感じたこととして、ガイド業務で外国人ゲストと仕事の話題になったときに、格段にゲストの仕事内容への理解度があがったことである。以前は専門的な仕事の話題になると、ついていけなくなることもあったので、きっとビジネス全般への解像度が上がったのだと思う。

現在の進路を選んだ理由

私の場合は、入学前も在学中も卒業後も、変わらずに同じく自身の事業を行なっている。おそらく起業家系の学生は同様だと思う。ただ、敢えていうなら同じ事業をしながらも、仕事の幅は広がったし、視野も広くなり以前よりも俯瞰的に自身のビジネスについて考えられるようになった(気がする)。ある意味、変な焦りはなくなり、自信がついたと言うこともできるかもしれない。

在学中、印象に残った出来事

思い起こせば楽しいことがたくさんあった。観光コースM1、M2の初めてのリアル集まりでの知的な雰囲気とワクワク感。 M1前期の基礎科目漬けの地獄の日々。果てしなく広がる知の海にダイブしたような感覚。卒論の追い込みで連日図書館にこもり、百万遍の知人の家に泊まったこと。WSの一貫でゼミ生みんなで長野県飯田市に行き、農家民泊をしたりスナック貸切体験をしたこと。グループワークでの頭から火花がでるような議論。学割で見たNGKの新喜劇。高度教養科目と称してなぜか本気で寸劇したこと。授業の一環として文化体験で留学生と妙心寺で座禅したこと。研究の面白さに触れたWSの時間。胃のキリキリした修論発表。そして、感無量の卒業式。
数え上げたらキリがないけど、一度社会人をしてから学生をすると、学べること・学生をできること自体の幸せを噛み締める瞬間が多かった。華のキャンパスライフ、それだけで社会人学生には眩しいのである。

授業以外に取り組んだこと

インターンやクラブ活動をしなかった自分が、授業以外で取り組んだことと言えば「飲み会」しかない。インフォーマルコミュニケーションの極致である「飲み会」は、MBAの醍醐味の一つである(たぶん)。「人脈作りのため」などではなく、「飲み会」それ自体に価値が内在しているのである。
学年、コースを跨いで飲んで、聴講コースにも顔を出し、果ては卒業式後の懇親会の総合幹事までやることに。本稿執筆時点は懇親会直後で燃え尽きている。
 

入学希望者へ向けてのメッセージ

藤本 賢司 さん

分析するに、大きく分けて3タイプの学生がいる。

①学部卒の学生、②休職or退職して入学した学生、③働きながら通う学生。

①と②はフルタイム学生で、③は勤労学生だ。以下は主観による傾向である。難関学科試験を突破している①は優秀だが、社会人経験がない。フルタイム学生の①、②は時間がたくさんあるので講義を大量に受講し、インターンなども積極的だが、M2になると就職のプレッシャーがある。②・③は専門性があり、自分の尺度があるのが強い(特に専門・実践科目で有利)。③は時間がなく、単位も最低限、予習復習もできず、万事やりくりに追われるが、就職のプレッシャーはなく、即実践に活かせる楽しさがある。
私は③のタイプだったので、フルタイム学生が眩しく、十分に時間をかけて勉強できていないコンプレックスがあったが、途中からはみんな人それぞれと思うようになった。タイプごとに学生生活の過ごし方や、比重のかけ方が異なると思うので、先輩に話を聞くなら同じタイプの人に聞くのがおすすめである。
私は、視野・知識・人脈・経験が増強され、在学中にも具体的にいくつかのツアー商品が作れたり、ためになることが多く、入学して本当に良かったと思っている。
何より、良くも悪くも自由でアカデミックな京大のMBAの2年間は本当に楽しかった。