春原 頌子 さん
サービス&ホスピタリティプログラム
2024年度修了生
総合商社 人事部
数あるビジネススクールの中でGSMを選んだ理由

GSMを受験した理由は2点あります。1点目は、京都大学の自由な校風や多彩多才な学生がいる環境に憧れていたこと。2点目は、2年目で実施するワークショップにて、自身の関心に応じた研究に取り組むというカリキュラムに魅力を感じたからです。私は新卒入社以降、同じ会社に所属し続けているため、今後マネジメント職を目指すにあたり、経営知識のアップデート、並びに、社外での視野や経験を得る必要性を感じており、第二子妊娠が分かった時に、育休中のMBA通学を検討し始め、出産直後に病院で願書を書き上げました。0歳児との通学は想像通り大変で、いつもベビーカーを押してダッシュし、授業の合間に保育施設に授乳に立ち寄って、といった状況でしたが、子どもとキャンパスを走り回ったのも今となれば思い出深いです。育休中の学生は私ぐらいだろうと思って入学しましたが、育休中のママ学生は同期に私含めて5名いて、GSMの多様性と懐の深さを感じました。
GSMで学んだこと
経営知識の幅を広げることがGSM進学の目的の一つでしたので、当初は自身の専門領域(人事)以外の授業を重点的に履修しようと思っていました。しかし、基礎科目を履修した時点で、やはり自身の興味関心は人事領域に有ることを再認識。結局、専門・実務科目は人事領域メインの科目選択をしました。今後も人事領域の仕事をしていきたいと確信できたことも、GSMで得たことの一つです。
科目は選択肢の数が多く幅も広く、受けたい授業がたくさんあって、選ぶのが大変でした。世界的にも著名な教授に解説いただいた経営学のmaster pieceと称される論文の数々、実務経験豊富で有名コンサルタントでもある教授から学んだ珠玉の経営戦略理論、当該分野の第一人者である教授から実践を通じて学んだ最新の起業家理論など、印象に残る授業は複数あり、GSMが掲げる「理論と実務をつなぐ実践的な教育」を体感しました。
現在の進路を選んだ理由
当初から所属企業に復職することを想定していました。GSMで多様なバックグランドの同級生と出会い、転職や起業も面白そうだと思うこともありましたが、育休を取得させていただいている身であることと、経営の学びを深める中で改めて所属企業の魅力を再認識したので、11月に当初の予定通り復職し、人事部の業務に邁進しています。復職後は業務と育児に忙殺されることが想定されたため、授業は2回生前期で履修を終え、ワークショップの研究も復職前に集中して取り組み、最低限の論文は書き上げておくなど、タイムラインは強く意識して動いていました。今はGSMでの学びをどのように活かせるか、組織や社員にどう還元出来るかを意識しつつ、業務に取り組んでいます。
在学中、印象に残った出来事

なんと言ってもワークショップ(WS)です。人事関連の研究に取り組むべく、関口先生のWSに配属していただきました。関口WSは博士課程との合同開催で、所属員は熱意ある優秀な方ばかり。所属員の皆さんが、私の拙い研究に対して毎回鋭い指摘やアドバイスをして下さり、非常に勉強になりました。研究テーマの選定にはかなり悩みましたが、関口先生の「本当にやりたいことをやるべき」というアドバイスに則り、自身が常々問題意識を抱いていた「転勤」(転居を伴う人事異動)を取り扱うことにし、質的調査を実施しました。毎回のWSにおいて進捗を報告するのですが、先生からいただくコメントは示唆に富んでいて、一言も漏らしてはなるまいと一生懸命メモを取ったものです。30名弱の女性総合職の方々にインタビューにご協力いただきましたが、どの方のキャリアストーリーも唯一無二で、分析したいことは増える一方。結局、自身の力不足で、分析したいことの半分も分析出来ませんでしたが、サービス&ホスピタリティプログラムの最終報告会における最優秀賞と、京都大学 SDGs Award 研究部門賞を受賞できたのは、先生のご指導とWSメンバーのサポートのおかげです。修了式の日、関口先生と、1年間共に頑張ったWS同級生と、時計台の下で万感の思いで撮った写真は生涯の宝物です。
研究結果は所属企業にも報告しており、実務にどう活かしていけるかを画策中です。また、WSを通じて研究の面白さと重要さを知りましたので、細々とでも転勤の研究を続けたいと思っています。
授業以外に取り組んだこと
GSMには勉学以外にも様々なことに挑戦できる環境があり、やりたいことは本当にたくさんありました。が、私はGSMでの勉学に要する以外の全ての時間は二人の息子の育児に充てていました。お迎えの時間があるから5限の授業は取れない、飲み会にもほとんど行けない、といった具合だったので、GSM生活が完全燃焼かと問われると、未練はある、というのが正直なところです。加えて、休めない授業や試験の時に子供が熱を出し、夫や母に負担をかけ、家族に申し訳ないと思ったことも1度や2度では無かったです。それでも、素晴らしい先生や同級生たちと出会い、勉学に向き合ってライフワークとしたい研究テーマに取り組み、学期の合間には子どもたちと旅に出るなど、育児と育自に全力で取り組んだ2年間は期待していた以上に楽しく豊かな時間で、学業と育児を両立した経験は、確かな自信と成長をもたらしてくれたと思います。私にこの機会を与え、サポートしてくださった皆様に心より感謝申し上げます。
入学希望者へ向けてのメッセージ

私が入学した頃、「育休中のリスキリング」が世間から批判を浴びており、肩身が狭い気持ちで入学したのですが、GSMでは誰しもが私の挑戦を応援してくれ、入学後は肩身の狭さを感じることなく、自身の目標に向かって真っ直ぐに取り組むことが出来ました。もし私と似たような境遇の方だったり、挑戦したいけど何かしらのボトルネックを抱えている方がこれを読んで下さっているなら、自身の「やってみたい」という気持ちを大事にしてください、と申し上げたいです。学び直しにはいつ取り組んだって良いと思いますが、案外、そのタイミングは限られているかもしれませんから。
GSM生は年齢も国籍もバックグランドも多様性に富んでいますが、「GSMでの学びを通じて、より良い社会の実現に貢献したい」という思いは、皆共通して持っていたように感じています。ライフステージのどの段階でも、同じ志を持つ仲間が増えるのは、素敵なこと。上記に共感してくださる方は、きっとGSMでの日々を有意義に感じてくださるのではないかと思います。