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2010.08.01

H22.08.01 2nd International Symposium on Policies for Sustainable Low-carbon Society(第2回 低炭素政策に関する国際シンポジウム)を開催しました

8月1日(日)に、京都大学経営管理大学院ケーススタディ演習室にて、京都大学低炭素都市圏政策ユニット主催、京都大学経営管理大学院、グリーンイ ノベーションマネジメントユニット共催による国際会議「2nd International Symposium on policies for sustainable low-carbon society」が開催されました。このシンポジウムは、低炭素社会を実現するために必要な政策について、技術・経営・政治など様々な側面から検討を加 え、情報共有をはかる事を目的として開催され、フランス、韓国からの講演者を初めとして様々な分野で活躍する学生、実務家、研究者が参加し、活発な議論が 交わされました。

低炭素都市圏ユニット長の谷口栄一教授より、開会の挨拶ならびに本シンポジウムの趣旨説明があった後、午前中の基調講演では、フランス国立交通安全 研究所の研究員であるDr. Jean Luc Ygnace氏より、「Trends and Prospects for Reducing Road Transportation Carbon Emissions in France」と題して、フランスにおけるCO2削減のための交通政策についての講演がありました。この中で、CO2の主要な排出源のひとつである自動車 交通からのCO2を削減するためには、人々の利用する交通手段すなわち行動パターンを変える事が重要であり、それを誘導するために交通政策や公共交通の戦略的な発展が欠かせないという説明がありました。これに関連してフランスや米国で行われている調査、研究の紹介とともに、今後の方向性と可能性についても触れられました。

その後、KAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)のJae Kyu Lee教授より、「Dynamics of National Green Policy, Green Business Strategy, and Green Technology Research Planning」と題し、「低炭素」をキーワードとした様々な技術について、政策やビジネス展開等も含め、世界的な動向と韓国の状況等についての広範な 講演が行われました。温室効果ガス削減に貢献する様々な技術の例として、太陽光発電や風力発電などの循環型エネルギー、スマートグリッドや電気自動車、 LED灯などが挙げられますが、これらの技術が実用化、ビジネス展開されるためには技術面とコスト面で残された課題も多いことと、グリーン税制などの政策 によってこれらの課題を克服できる可能性について説明がなされました。

午後の基調講演では、小林潔司経営管理大学院院長より、「Effective Communication for Low Carbon Society」と題し、高度知識社会におけるコミュニケーションの役割に関する講演が行われました。環境技術の進展やコミュニケーションの高度化、環境知識の蓄積と炭素排出量との関係に関する概念的な整理が紹介された後、低炭素社会実現に向けたこれからの交通行動・コミュニケーション行動のあり方につい ての様々な示唆が説明されました。

その後の「Practical Session」では、「Challenges for Low carbon Societies in Japan」と題して、京都大学経営管理大学院の石原克治教授、価値総合研究所の山崎清主任研究員の2名による講演が行われました。講演では、東京都市圏 において低炭素都市政策を立案するために開発中のツールや、国土交通省の低炭素社会に向けたガイドラインとその実現のための政策について話がありました。 講演の最後に行われた質疑応答では、参加者全員による問題意識の再確認が行われました。最後に小林潔司大学院長より、今後のユニット主催シンポジウム開催予定について説明があり、シンポジウムは盛会のうちに閉会しました。

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Dr. Jean Luc Ygnace氏による基調講演

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Jae Kyu Lee教授による基調講演

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質疑応答

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会場の様子