川村 結衣

KC-CDO
2023年度修了生

不動産総合デベロッパー

数あるビジネススクールの中でGSMを選んだ理由

川村 結衣

GSMに京都大学・コーネル大学国際連携コース(KC-CDO)があったからです。KC-CDOは、京都大学GSMでの1年間、コーネル大学ホテルスクールでの1年間から構成されており、卒業時にどちらの修士号も取得することができるコースです。私が当コースを知ったのは、高校生の時でした。母とスリランカを訪れた際に現地のホスピタリティに感動し、ホテル経営に漠然とした興味を持ちました。その帰国直後の2017年2月、当コースの開設に関する新聞記事を偶然目にしました。おもてなしで知られる伝統的な町、京都にある京都大学、また、世界最高峰のホテルスクールを擁するコーネル大学、両校で学ぶことができる当コースに大変魅力を感じGSMへの進学を志しました。その後、京都大学経済学部にて原 良憲先生の下で学ぶ中で、ホテル経営について専門的に学びたいという思いが一層強くなり、学部卒業後、当コースへの進学を決意しました。

GSMで学んだこと

GSMでの1年間、経営の基礎科目に加え、京都大学らしいユニークな選択科目を受講しました。例えば、「Resilient Hospitality Management」という授業では、おもてなしとサービスの違いについて座学を通して学んだり、京都の老舗企業に伺い、実際のサービスや製品を見ながら経営者の方から直々にお話を伺ったりと、大変貴重な経験をしました。
一方、コーネル大学での1年間では、ホテル経営に関して網羅的に学びました。「Operation Management」や「Human Resource Management」などの基礎科目に加え、ゲストの体験を想像しながら客室やフロアをデザインし実際に図面を描く授業や、用地取得からコンセプトデザインまでホテル開発に関する一連の流れを模擬的に学習する授業。統計ソフトを使って周辺の不動産マーケットを調べる授業など、ホテルスクールに限らず他学部の授業も活用しながら、興味がある分野について学びました。

現在の進路を選んだ理由

京都大学・コーネル大学両校で学ぶ中で、ホテルという一つの施設に限らず、周辺の観光資源や建物も活用してより広範な「空間」をデザインし、地域により大きなインパクトを与えるということに強い興味を抱きました。そこで、ホテルや商業施設、オフィス、住居といった様々な不動産の開発を通して「まちづくり」を行う総合デベロッパーに興味を持ちました。
「ホスピタリティ」と聞くと、ホテルやレストランなどのサービス業を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、「ホスピタリティ」とは、相手が求めるものは何かを考え、それをサービスや製品といった形に変え提供する上で根幹にある考え方であり、「まちづくり」においても非常に重要な考え方です。この2年間の学びは、今後の進路において重要な役割を果たしてくれると思っています。

在学中、印象に残った出来事

コーネル大学での日々は常に忙しかった印象があります。京大から多少の単位互換は認められるものの、本来1年半のプログラムを1年で修了するということで、ホテルスクールの正規生よりも多く単位を取る必要がありました。そのため、渡米直後は、毎週授業ごとに出される課題と授業の予習復習に取り組むことで精一杯でした。慣れてきた頃に就職活動が始まり、就職活動が終わった頃にビジネスプランコンテストの準備が始まり、常に何らかのイベントに追われていた気がします。今思い返せば、本当に充実した日々でした。
京都大学での生活で最も印象に残っているのは、ワークショップでの取り組みです。私は(後述の)インターンシップで経験した内容を踏まえて、「日本のラグジュアリーホテルのインバウンド観光客への対応の課題と解決策」というテーマで論文を書き上げました。その際の最終プレゼンで、人生で初めて緊張せず自分の思っていることを淀みなく発表することができました。
これまで人前で話す事自体が大の苦手であった私が堂々とプレゼンテーションを行う事ができたのは、この2年間の数々の経験のおかげだと思います。結果、光栄なことに、Best Presentation Awardをいただく事ができ、大変嬉しかったです。

授業以外に取り組んだこと

川村 結衣

コーネル大学在学時は、ビジネスプランコンテストに参加しました。日本文化に対する関心は世界各地で高まる一方であり、渡米後、実際に「Omakase」「Kaiseki」などの認知度が高まっていることを感じました。そこで、クラスメイトと共に、日本旅館の米国進出というテーマでプレゼンテーションを行い、2位を受賞しました。
京都大学在学時は、授業に参加する傍ら、京料理店でのアルバイトや、旅館でのインターンシップに取り組むことで、座学での学びをより深めることができました。中でも2ヶ月間のインターンシップは、現場で働く方々がどのような環境で、どのような課題と向き合っているのかを目にすることができ、とても実りのある経験だったと思います。
一方で、遊びにも全力で取り組んだ2年間でした。特にコーネル大学では、長期休みの前は必ず、学生も教授陣も課題と採点に追われる怒涛の日々を送ります。そしてその労いとして長期休みは旅行に出かけるのです。私も休みのたびにクラスメイトと米国各地を旅行したり、一人でヨーロッパを周遊したりと、プライベートでも大変貴重な経験ができました。

入学希望者へ向けてのメッセージ

川村 結衣

GSMでは、各学生の独自の視点を尊重し学び合うという姿勢が浸透しており、年齢、国籍、プログラムなど、様々な垣根を超えてフラットに議論に参加することができ、魅力的な大学院だと思います。
そして、中でもKCCDOは非常に贅沢なコースです。前述のように、京都大学・コーネル大学両校で1年間ずつ、著名な教授陣の下で学ぶ機会が与えられます。それぞれ開講されている授業も異なるため、自分の興味分野を追求することができますし、伝統的なまち京都での暮らしと自然豊かで美しいキャンパスで有名なイサカでの暮らし、両者を経験することができます。
そして、どちらの卒業生ネットワークにも参加することができる点も魅力的です。同じ時間を過ごした友人が世界各地で活躍する姿は大変刺激的であり、そのような友人関係を築けたことを嬉しく思います。最後に、卒業生として、一人でも多くの学生がこのコースに興味を持ち、今後も長く続いてくことを願っています。