矢野 厚登さん

ファイナンス・会計プログラム 2018年度修了生

ブレインパートナー代表 / 公認会計士・税理士

数あるビジネススクールの中でGSMを選んだ理由

矢野 厚登さん

私は、京都大学法学部の卒業生でその自由な校風に惹かれ、ビジネススクールができた当初から入学を検討していました。今後のキャリア形成や事務所のブランディングのためにも地元のビジネススクールではなく、京大のMBAであることが重要でした。ただ、住居及び事務所が名古屋にあり、通学できるかが心配で悩んでいましたが、1年半コースがあり、土曜日に集中的に講義を選択できること、平日1日を有効に活用すれば仕事を続けながらでも通学できそうだということがわかり入学を希望しました。

GSMで学んだこと

経営者としてのビジネスの実践を、理論的な裏付けによって検証することができました。 例えば、創業期のアントレプレナーシップ、成長期の資金調達にかかわるポートフォリオ理論、新規開拓におけるマーケティング理論など、自分が試行錯誤して実践してきたことが、学術的に研究されていることでもあるということを発見する日々でした。また、自分が約20年続けてきた、医療機関の経営支援が、管理会計や経営戦略、マネジメントシステムの分野で学術的にも研究の対象とすることができることにも自信がもてるようになり、博士後期課程への進学につなぐことができました。

現在の進路を選んだ理由

本業の会計事務所ではクライアントの多くが医療機関であり、病院やクリニックの経営支援が主な業務です。これからは、学術的に医療機関のマネジメントシステムの研究を深めるとともに、それを実践に役立てるような取り組みをしていこうと考えています。具体的には、管理会計をベースに中小病院が安定的に医療サービスを提供できるよう、属人的な要素に影響されない経理管理システムの構築を支援していきたいと思います。

在学中、印象に残った出来事

管理会計のWSは非常に新鮮でした。澤邉先生とは会計事務所のこれからについてもいろいろと意見交換をし、この業界の今後についても多くの示唆を得ました。業界における環境分析や戦略構築、戦術への落とし込みなど理論的でありながら私の仕事に直結する内容でもあり、わくわくするような時間でした。また、徳賀先生のゼミでも、京都企業の分析から始まり、それを愛知企業に置き換えてグループワークを行うことで、今まで知っていたつもりの企業への見方が変わったり、より身近に感じられたということも貴重な体験でした。

授業以外に取り組んだこと

MBAに通い始めてまもなく、キャンパス内にある「イノベーションハブ京都」の存在を知りました。ここには医療・介護分野を主領域とする新しいビジネスをサポートするインフラが用意されており、京大のMBAと医学部が連携し、そこに産業界がジョインしてベンチャーを育てるインキュベーション施設です。 私は、公認会計士・税理士として創業者、ベンチャービジネスの支援に大きな関心を持っていただけでなく、20数年来、自分が深くかかわってきた医療の分野でもあることから、「イノベーションハブ京都」の存在を世の中に広く知っていただきたい、特に私が主に活動する中部地区の企業経営者の方々にも、医療・介護分野への参入のヒントにしてほしいという思いで、半年かけてこの施設を取材し、そのレポートを中部経済新聞に連載していただきました。

入学希望者へ向けてのメッセージ

私たち社会人にとって、ビジネススクールの魅力の一つは、自身が経験してきたビジネスでの実践を、理論によって裏付けることによって、より自信を深め、新たなキャリア形成にとって確実にプラスになることだと思います。また、日常の業務を一瞬はなれ、年齢も国籍やバックグラウンドも異なる方々と接することで、今まで考えもつかなかったようなアイデアが浮かんだり、それまでは無理だと思っていたことが可能に思えてきたりする場でもあります。入学時の年齢は55歳でしたが、学内で他の学生さんとの年齢差を感じることはあまりなく、楽しいキャンパスライフを送らせていただきました。私は名古屋に住んでおり、事務所も経営しているため、本当に通学できるのか、単位が取得できるのかという不安がありましたが、思い切って飛び込んでよかったと思います。ちなみに「保護者」である妻は、私が卒業できるか心配だったようですが、やっと安心してもらうことができました。