ニュースアーカイブ

2015.08.07

H27.06.01 2014年度ベストティーチャー賞に 末松 千尋教授 と 加藤 康之特定教授 を選出しました

  第6回目となる2014年度ベストティーチャー賞に、末松 千尋教授と加藤 康之特定教授が選ばれました。

 

「ベストティーチャー賞を受賞して」 末松 千尋 教授

考える習慣づけ、考え方のコツの伝授など、いわゆる”ロジシン(Logical Thinking)”の演習を行っています。約20年前に日本で最初のロジシン本を世に出したときには、そこら中から石が飛んでくる感じでしたが、難関外 資系企業などの就活に採用されるようになってから、急速に学生の間で注目されるようになり、現在では社会に広く知られるまでなりました。欧米および世界の ロジシンは”リーゾニング”あるいは”クリティカル・シンキング”としてあまりに一般的ですが、日本ではそれをはるかに高度に展開した問題解決技法として 極めてユニークな発展を遂げています。もう10年もすれば、日本の若いロジシン世代が日本大復活に活躍しだすと期待しています。

 

「ベストティーチャー賞を受賞して」 加藤 康之 特定教授

ある本によれば、相関係数を発明した高名な統計学者であるピアソンは、社会科学に統計的分析など科学的アプローチを応用するのは危険だと指摘したそうであ る。社会科学のデータは自然科学のデータと異なり、人間の行動の結果として観測されたものである。つまり、同じ環境下で同じことを繰り返せば同じ結果が出る自然科学と異なり、社会科学では同じ結果が出ることは保証できない。人間は他の人間の行動を見て行動を変えるというフィードバックを起こすからであ る。そもそも現実の社会では同じ環境が繰り返されるということもありえないだろう。このことは特に金融市場で顕著であり、リーマンショックはピアソンの指 摘が的中してしまった事例と考えることが出来る。リーマンショック当時、ある金融機関で金融工学部門の責任者であった私は大きな社会的批判を浴びることに なった。しかし、統計データを使った科学的アプローチなしに、社会科学の進歩はあり得ない。ファイナンスや金融工学における科学的アプローチの限界を理解 しつつ、それでも科学的アプローチを謙虚に追求して行きたい。

 

20150807 news

加藤 康之特定教授、河野 広隆院長、末松 千尋教授(左から)

 

[過去の受賞者]
2009年度/曳野 孝准教授、アスリ M チョルパン准教授 
2010年度/William Baber特定准教授、野沢 誠治特別准教授
2011年度/椙山 泰生教授、石原 克治特別教授 
2012年度/曳野 孝准教授、久保田 善明准教授
2013年度/William Baber特定准教授、前川 佳一特定准教授