女性研究者の声

今村 都

研究職にいたった背景

私は学部時代、タイの文化と言語を専門に学んでいました。卒業後は一度日本国内で就職したのですが、タイに行きたい思いが捨てられず、転職して日系企業のタイ支社立ち上げの仕事を2年ほどやりました。そこで日本人とタイ人は仕事に対する価値観が随分と違うなということに気が付き、大学に戻ってきてタイ人の労働観の研究を始めました。

現在の研究内容、今後の取り組み

現在の研究内容、今後の取り組み

今は経営管理大学院のパラドキシカルリーダーシップ産学連携講座というところで特定助教をしています。タイ人の労働観の研究も相変わらず続けているのですが、研究を続けるうちに、だんだんグローバルな職場で課題になるコンフリクトには(日本vsタイというような)二国間の価値観の違いもあれば、資本主義社会と自国の文化間の違いもあるなという問題意識が芽生えてきました。今はもともとの研究から視野をやや広げて、資本主義社会と伝統文化のパラドクスというテーマにも取り組んでいます。
(写真:タイの農村の様子)

ワークライフバランスと女子学生へのメッセージ

ワークライフバランスと女子学生へのメッセージ

私自身はワークとライフがあまりバランスしないタイプなので偉そうなことを言える立場ではありませんが…職場における女性の権利について考える時、それが生殖のため、少子高齢化対策とか社会という全体性のためのものであってはいけないと思ったりします。つまり、次の世代を育てることだけではなく、「今」生きている私たちの生活を向上するための権利であるべきだと思うのです。すべての女性がワークとライフをバランスしなければいけないわけではないし、仕事にまい進する権利だって女性にはあるはずです。これまでの職場では女性がマイノリティで、女性が意思決定に参画していないケースも多かったかもしれません。もし、何か生きづらいと感じることがあっても、自分に落胆しないでほしい。むしろ声を上げて、これからの世界を一緒に作っていければと思います。