イベント

イベント報告 2023.04.21

『演劇を用いた地域に開かれたカフェ型健康教室の開発と評価 |最終報告シンポジウム』を開催しました

2023年3月5日(日)14:00~15:30、京都大学杉浦ホールで、『演劇を用いた地域に開かれたカフェ型健康教室の開発と評価最終報告シンポジウム』を開催いたしました。研究プロジェクトで開発した「健康カフェ」の開発と実践を経て得た知見が報告されました。

「健康カフェ」とは、当プロジェクトで開発したヘルスプロモーションプログラムのことです。プロの俳優による健康をテーマとした短い演劇作品を見たあと、参加者が「自分が糖尿病患者だと同僚に打ち明ける?Yes? No?」などの健康に関するジレンマをテーマとした劇を創作し、上演してもらうというプログラムです。参加者の対象としては、地域住民、医療者を想定しており、2度の実践においても、地域住民、医療者が混合したメンバーに対してプログラムを実施しました。

スギ薬局の店舗の一角で実施した「健康カフェ 〜糖尿病〜」、佐賀県のコミュニティカフェで実施した「健康カフェ 〜認知症〜」での成果を振り返り、「薬局でやることの意義」「医療機関を離れた場でやる意義」「医療者と非医療者が同じ参加者という立場で演劇を創作し、ディスカッションする意義」について登壇者による議論がありました。研究プロジェクト助成元のスギ薬局藤田あゆみ様からは、「健康カフェ」では、医療サービスを提供する側と提供される側の区切りがなかったとのフィードバックがありました。

医療者と地域住民が集う中で、「一緒に演劇の作品をつくる」という提供するでもない、されるでもない、共通の目的を設定することによって、対等な状態である健康に関する事例について議論することができ、医療サービスの中で出てくる様々な課題や各々の感情・考え方に気づくことができたのではないか、そういった点で演劇が大きく寄与したのではないかという議論になりました。

また、登壇した医師の岡崎研太郎 先生は、「演劇を用いると、医療者もいったん素の自分を一旦切り離し、色々なタイプの医療者を演じてみるということができる。医療者も、引き出しは一つではなく、患者のタイプごとに様々なペルソナを演じ分けてみるなど、色々な可能性を試すことができる。」と指摘していました。

シンポジウムを聴講した方々からは、「ぜひ『健康カフェ』を私のフィールドでも実施したい!」との発言がありました。当シンポジウムで演劇を用いた新たなかたちのヘルスプロモーションプログラム「健康カフェ」の効果が確認されました。今後の発展・普及の礎となる有意義なシンポジウムでした。

 

関連リンク
https://www.accd-c.org/sugiura2022/230305_symposium_report//