経営管理大学院では、個性豊かな若手研究者が教育や研究に取り組んでいます。
柳 淳也 特定講師をご紹介いたします。
どのような研究をされていますか?研究の楽しさを教えてください。

現在、様々な研究をしていますが、私の中心的な関心事は、マイノリティや周縁化された人々がどう生き延びているのかという問いにあります。また、彼|女らが生き延びるために、私が何か少しでも彼|女らのためになる知識を蓄積できたらいいなという思いで研究をしています。具体的なプロジェクトとしては、LGBTQの起業家や、女性企業家の研究、企業内におけるダイバーシティ・インクルージョン実践の研究などをしています。
研究の楽しさは、自分が知らなかったことを知ることができる点ですね。それも世界中の(おそらく)誰よりもはやく知ることができるようになることだと思います。
京都大学の研究者になるまでのストーリーを教えてください。

京都大学の研究者になるまでは、百貨店でワインの販売員をやったり、イタリアンレストランでワインのソムリエをやったり、ワインのECサイトでのお仕事など、ワインに関する仕事をしていました。その後、大阪市立大学大学院の博士課程に入学し、修了した後は、大阪府立大学(現在の大阪公立大学)で1年間働きました。その後、ご縁があり、京都大学経営管理大学院で働いています。
ご自身初の著作「揺さぶる経営学」は博士論文にもとづいて書かれたそうですね。
表紙にはご自身が制作された木版画を使われています。エピソードがあればぜひ教えてください。

ある展覧会がきっかけとなり、木版画についての歴史を知り、自分の手で彫ることに決めました。木と彫刻刀さえあれば(文字が読めずとも)誰もが何かを主張することができる木版画が、歴史的に抵抗運動の一つとして用いられ、名もなき人々の声を伝えるものだったことに思いを馳せ、彫りました。
木版画制作の詳細は、中央経済社のホームページで書いていますので、ぜひ読んでください。
https://digital.chuokeizai.co.jp/n/n2aaa2d9ffbf2?gs=e38f75671461
こどもたちに向けてダイバーシティ研修をされているとお聞きしています。
楽しいところ、苦労されているところはありますか?

今でも、小学校や中学校に行き、LGBTQを含むジェンダー・マイノリティやセクシュアル・マイノリティ、ダイバーシティについて教える機会をいただいています。
楽しいところは、子どもたちから、その地域やその年代の今の流行りのものや、今面白いなと思っているものを教えてもらうことです。
苦労していることは、子どもたちに教えるという点ではあまりありません。子どもたちは、LGBTQを含め、多様性について学ぼうという意識が高く、また知識の吸収もとても早いです。敢えて言うなら、保護者の方などがあまり理解しておらず、その結果、マイノリティ性を持つ子どもたちがしんどい思いをしてしまっているケースに対して、あまりにも自分が無力だなと思う瞬間です。一朝一夕ではやはり解決が難しく、論文を書いたり、講演をしたり、多方面の活動を通して社会の偏見を変えていく必要があるなと感じます。
教育と研究にお忙しくされていますが、日々のワークライフバランスについて心がけていることはありますか?

たくさん寝るようにしています!正直なところ、ワークとライフを切り離すということは難しいと感じています。なぜなら、自宅で仕事をする機会も多く、研究のことを考えることは教育のことを考えることでもあるし、遊ぶことが、研究や教育につながることがたくさんあるからです。
観劇(この前、縁があり出演もしました!)や、趣味で友達とダンスをしたり、ボードゲームをしたり、小説を読んだり、ワインを飲んだり、私はたくさん余暇の時間を楽しんでいると思いますが、そうした時間をたっぷりとるからこそ、湧いてくる研究や教育のアイデアがあるわけです。そう正当化してたくさん遊んでいます。笑