2017.04.01

終了:【科研】海外M&Aの成否に関する定量的、定性的研究

研究種目

基盤研究(C)

期間

2017-04-01 – 2022-03-31

代表者

松本 茂 特命教授

分担者

  • 砂川 伸幸 教授

キーワード

  • M&A / 国際経営 / 企業戦略 / 相乗効果 / クロスボーダー / 買収後の経営 / 規模の経済性 / 範囲の経済性 / 経営学

概要

研究期間を延長した今年度は、これまで行った、海外M&Aの成否に関する定量分析と定性分析の取りまとめを行った。日本企業の海外M&Aはその発展期である、2002年から2011年の10年間に実行した139件(買収金額100億円以上、50%超の株式取得、資源、金融、不動産セクターを除く買収案件)の買収後の業績を調査したところ、成功が17件、失敗が28件で失敗の数が成功を上回っていた。しかし、1985年から2001年までに実行した、草創期の海外M&Aは成功が9件、失敗が51件であったことから、全体として日本企業の海外M&Aは、買収後の利益成長を実現する成功案件が増え、成否割合が改善していることが分った。 発展期の海外M&Aで成功した企業の買収後の経営を分析すると、同業他社を買収して市場占有率の拡大と重複の削減によって相乗効果を狙う従来の水平結合モデルに加えて、自社製品やサービスの補完財となる事業を買収して事業領域を拡げる混合結合、そして、サプライヤーやディストリビューターを買収して内製化する垂直結合のモデルが増えていた。混合結合の買収では、買収対象事業との重複が少ないことから、規模の経済を活用したコスト削減による相乗効果は限定的であるが、買収で獲得した新たな製品を自社の製品と組み合わせることで増収による利益成長を実現していた。日本企業の海外M&Aの戦略的な目的は、多様化しており、現地での追加買収も増えている。その結果、従来の水平型と垂直型、そして混合型を掛け合わせることで海外での成長を実現していることが分った。