イベント

イベント報告 2025.07.09

「上場企業の経営者に求められる資質と責任」を開催しました

基調講演を行うセス・フィッシャー 氏

京都大学経営管理大学院 経営研究センターと哲学的企業家研究寄附講座は、7月1日(火)時計台記念館百周年記念ホールにて、オアシス・マネジメント 設立者兼最高投資責任者 セス・フィッシャー 氏をお迎えし、「上場企業の経営者に求められる資質と責任」と題するセミナーを開催しました。

基調講演でフィッシャー 氏は、企業経営における”ガバナンスの欠如”と”経営者の責任感の欠如”が、株主価値の毀損や市場評価の停滞を招いていると指摘。小林製薬やオリンパスの実例を通じて、取締役会の形骸化や内部通報制度の機能不全など、具体的な課題を提示しました。

続くトークセッションでは、佐山 特命教授が進行役を務め、企業価値評価の基礎理論を解説し、これらの手法がどのように企業の戦略や成長見通しに直結するかが示されました。大熊将八 氏(株式会社QuestHub代表取締役社長CEO)からは、上場企業と株主についての課題が語られ、経営者としての責務・透明性・説明責任の重要性が多角的に議論されました。

参加者との質疑応答では、多数寄せられた質問を通じて、登壇者から実務経験を交えた知見が提供され、参加者との相互対話によりセッションはさらに実りあるものとなりました。
セミナーの最後には、フィッシャー 氏から「SPEAK UP(声を上げよ)」というメッセージが強調され、株主・社員・取締役など全てのステークホルダーが、健全なガバナンス実現のために発言し行動する責任があることが強く訴えられました。

当日は、約400名の参加者があり、フィッシャー 氏の鋭い指摘と具体的事例に基づく提言が「想像以上に実践的かつ学びの多い内容だった」との声が相次ぎました。また、「アクティビスト=敵」という先入観を改め、企業と株主が対話を通じて共に成長する未来への希望を感じたとの意見も寄せられました。

本セミナーは、佐山展生 特命教授が企画する「ビジネスセミナー」シリーズの一環として開催されたものであり、今回が2025年度第2回目となります。本シリーズでは今後も、日本を代表する経営者の経験や人生の学びを通して、参加者がキャリアアップに向けた知見や気づきを得ることを目的に、年4回のペースで開催を予定しております。

トークセッションの様子
セミナー終了時に握手をするフィッシャー 氏と佐山 特命教授