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イベント報告 2024.11.19

「グリーン・アントレプレナーシップ」開講記念公開セミナー第2回を開催しました

講義の様子

11月1日(金)2.3限、2024年後期開講の「グリーン・アントレプレナーシップ」公開セミナー第2回目を開催しました。

今回は、「業務スーパー」で知られる株式会社神戸物産の創業者であり、同社を事業承継したのちに株式会社町おこしエネルギーを設立された、沼田昭二 氏にご登壇いただきました。

午前中の部では、シリアルアントレプレナーとしてのご経歴を振り返りながら、それぞれの企業で実行してきた戦略の特徴や、その意図について詳しく語っていただきました。

まず、神戸物産については、同社の競争力の源泉となる技術や事業システムについてご紹介いただきました。そして、当時まだ31歳という若さだった長男の、博和氏への事業承継の経緯についても語られ、社長交代後には同社の経営に関与しないと決め、それを実行したことについても触れられました。

続いて、町おこしエネルギーについては、地熱発電の導入から運用までをパッケージ化することにより、低コストで実用化するというコンセプトや、その先駆的な実例についてご紹介いただきました。また、太陽光発電の採算性と環境保全の両立を図る、ソーラーグレージングについても詳しく解説されました。業務スーパー事業で培った仕組み化や組み合わせの妙に基づく経営を、クリーンエネルギー分野におけるイノベーションにも応用していることが窺える内容でした。

午後の部では、沼田氏の熱い信念が受講生に強く伝わり、かなり多くの質問が飛び交いました。それぞれの質問に対して、個別の技術や会計・財務といったミクロな視点と、グローバルな時流を読むマクロな視点を、自在に行き来しながらお答えいただきました。

講演のまとめでは、沼田氏が企業家として最も大切にしていることは「常に事業を楽しみ、他者に対して感謝すること、そして失敗から前向きに学ぶこと」であると述べられました。地域におけるエネルギーの自給率アップや将来の日本における食糧自給率の向上といったビジョンに向け、足りないものは自ら創り出し、多面的に課題に挑むというグリーンアントレプレナーとしての強い決意が語られました。

最後には、留学支援を目的とする財団や地熱発電の技術者を育成する学校法人を設立するなど、次世代の育成にも力を注いでこられた沼田氏の想いが込められた講演会であったと、軽部大 客員教授の締めくくりがありました。グリーンアントレプレナーシップというテーマの大きさと意義を考える貴重なセッションとなりました。

グリーン・アントレプレナーシップ研究寄附講座授業「グリーン・アントレプレナーシップ」については、下記ウェブサイトで詳しく紹介しております。

グリーン・アントレプレナーシップ研究寄附講座
https://www.gsm.kyoto-u.ac.jp/collaborative-research/green-entrepreneur/