研究

科研情報等

京都大学経営管理大学院の主な研究活動(科研情報等)を掲載しています。
関連するシンポジウムやセミナー、研究会等のご案内については随時更新してまいります。

2019.04.01

【科研】企業家の省察についての二人称的アプローチとその有用性の検討

本研究の目的は、経営現象を解明するための質的方法として、起業と経営についての二人称的アプローチの有用性を検討することである。この目的を達成するために、以下の3点を行なう。第1に、一人の連続起業家との対話を繰り返すこととその対話の逐語記録を作成することである。第2に、蓄積された対話の逐語記録から起業と経営についてのプロセスのモデルを生成することである。第3に、プロセスのモデルを生成した文脈として、起業家と研究者との関わり合いのプロセスを記述することである。 本年度は、当初の計画通り、以下の3点に取り組んだ。 (1)連続起業家の乃村一政氏との対話の実施とその逐語記録の蓄積を行なう「ことばの交換」は、2011年4月21日から2021年3月までに計48回を実施した。今後も本調査を継続予定である。 (2)2020年12月13日には、経営行動科学学会経営組織部会・西日本部会による共同開催シンポジウム『経営学と臨床』で「連続起業家の省察の履歴とその使用法」と題する発表を行なった。この発表を踏まえて、2021年度中に、「起業家と経営パートナーとの関わり合い」を主題とする論文の公刊予定である。今後は、既存研究とのつながりをより詳細に検討するために、文献レビュー論文の執筆を進めていく計画である。 (3)「起業家と研究者の関わり合い」を主題とする査読付き研究ノートの『企業家研究』への掲載が決定した。今後は、本主題で論文化できるように取組む計画である。
2018.06.29

【科研】アナログおよびデジタル・ゲームを包括した「ゲーム・エコシステム学」構築の可能性

本研究では、技術的な面からライセンス管理や頒布が容易なことからプラットホーム化が先行しているデジタル・ゲームを基礎にしながら、アナログおよび デ ジタル・ゲームに関連するデザイン、制作・開発、流通・管理、実施・教育、法制度や社会的影響など、相互に関連していることを踏まえ、特定の分野だけ に着目するのではなく、俯瞰的かつ総合的な研究として、それら関連する分野全てを包括した概念を「ゲーム・エコシステム」と名付け、アナログやデジタルに 限定しない、新しい研究対象・分野・領域としての「ゲーム・エコシステム学」構築の可能性を検討する。 本年度は、これまでに実施したインターネット調査会社を通じ、全国のゲームの利用者を対象としたアンケート調査結果について、詳細な分析を実施した。特に、全国的にアナログ・ゲームの普及が進んでいる状況に加え、メーカーだけではなく、個人でゲーム開発に携わる人が多いことが特徴として現れている。そこで、継続して、我が国における展示会ゲーム・マーケットに参加し、我が国の特徴でもある、個人レベルでゲームを開発している開発者を中心としたヒアリング調査を実施し、研究を進める。
2018.04.01

【科研】消費者のデジタルメディア行動にアイデンティティと共感が及ぼす影響に関する研究

【研究実績の概要】 初年度となる本年度は、(1)データ収集方法の検討、(2)収集したデータの分析方法の検討、(3)分析に対する理論的枠組みの検討を行った。(1)データの収集に関してはTwitterを対象として同社が提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を用いてツイートをダウンロードするプログラムの開発及び地域・観光、倫理的消費に関するデータの収集に着手した。(2)データの分析方法については、本研究ではテキストマイニングによる分析を行う。まず、企業や団体の宣伝や広告が多く含まれるツイートから消費者のツイートを抽出する方法の検討を行った。さらに年度後半には機械学習や深層学習を用いたツイート内容の把握、分類を行うための技術的検討を行った。トピックモデルと呼ばれる機械学習を用いたツイート内容の分類・比較、深層学習(ディープラーニング)によるツイートの分類を試験的に行った。またこれらの過程で得られたテキストマイニングに関する知見をもとに生活協同組合と小売業のミッション・ビジョンの比較研究も実施し成果としてまとめた。本研究はSNS(Social Networking Service)における消費者の行動を(3)共感及びアイデンティティの視点から分析を行う。本年度は、インターネットの登場以来盛んに研究されててきたネット上での消費者のアイデンティティ形成や自己表現に関する研究の再検討と最新の動向を研究した。また、共感についてはSNSとの関係を検討した既存研究は不十分であるが、マーケティングや消費との関係からの検討を行った。 【現在までの達成度 (区分) 】 2: おおむね順調に進展している 理由: データ収集に関しては、Twitterからのデータ収集を試みたが、Twitter社の提供するインターフェイスに制限があり、検索キーワードによる収集は、収集時から約7日程度のツイートしか遡ることができず、一定期間のツイートを得るためには日数を要する。そのため、新たなデータの収集に関しては順調に進んでいるとはいえない。しかし研究開始以前より収集を続けていたデータを所有していたため、それらを活用して本年度は分析を行った。分析方法については、機械学習・ディープラーニングなど初めて用いる手法による分析を行うため、これらの手法に関する修得から着手せねばならなかったが、これらに関しては試験的に収集したデータの元で良好な結果が得られており概ね順調に進んでいると考えている。理論的研究に関しては、アイデンティティ、自己表現の視点からSNSをはじめとするソーシャルメディア上の行動の最新動向をフォローした。一方で、共感や消費者の関係性に関する研究のレビューは以後の課題となっている。研究成果の公表については、テーマであるデジタルメディアにおける消費者行動に関わる研究成果の公表には至らなかった。しかし、データ収集や分析の過程や理論的研究の過程で得た知見をもとにいくつかの研究成果を公表することはできた。今度は研究課題に直接関わる研究成果の公表を早急に行いたいと考えている。 【今後の研究の推進方策】 現在は、分析を行うために充分な量のデータ収集を完了した段階である。本年度は、収集したデータをもとに、(1)特定のテーマに関するツイートの抽出・分類、(2)ツイートの内容の違いによるユーザーの行動の違いを分析する。(1)ツイートの抽出については、本年度収集した地域・観光、倫理的消費に関するツイートを機械学習及び深層学習を用いた分類を行う。それにより今日のSNSの特徴であるタイムライン型のコミュニケーションから消費者が発信した情報や特定の消費に関する情報を抽出する技術の開発を行う。次に、その結果に基づき(2)ツイート内容とユーザーの行動の関係を分析する。ユーザーの行動としては、読み手の反応としてその情報の拡散につながるリツイート、発信者の発信の動機付けとなるいいね!、情報交換を活性化する返信に着目し、いかなる内容のツイートがこれらの反応を促すのかということを解明する。また、近年では画像や動画を用いた動画が急速に普及しつつある。そのため、画像に存在する物体を深層学習により特定する画像認識・物体認識に関する研究に着手する。その上で、ツイート内容と画像内容の関係、リツイートやいいね、返信を促す画像内容を解明する。また、今日のSNSにおける消費者間のコミュニケーションの特徴であるタイムライン型のコミュニケーション、リツイートやいいね、画像の使用などの言葉を使用しないコミュニケーションの特徴それ自体を整理したうえで、これまでのネット上でのコミュニケーションとの違いを概念的に検討する。
2018.04.01

【科研】伝統産業、観光等の地域発起業家の新市場創造におけるエフェクチュエーション

【研究実績の概要 】 本研究の目的は、市場創造の新しいパターンとしての「エフェクチュエーション」(サラスバシー)のモデルにもとづいて、伝統産業、観光、小売商業などの地域発の起業、事業創造のプロセスを解明することである。理論的には、マーケティングのイノベーションとして起業を理論化し、実務的には、それにもとづく地域創生等の展開をめざしている。 2018年度の研究では下記の3点について取り組んだ。第1に、起業のアプローチでの少子・高齢化、人口減少社会への対応についての調査研究結果をとりまとめて、出版した。本研究では、地域の人たち自身の取組として、地域の人たちのリソースを活用して、地域の人たちのニーズを「発見」していくことが重要であるとして、地域でのワークショップ型のアプローチを提案した。 第2に、起業アプローチでのNPOの事業展開についての経過を調査分析して、その内容を国際カンファレンスで発表した。本研究では、NPOによる批判的思考教育の展開について、2011年以降の歴史的経過と海外比較を通じて、日本独特の発展パターンを明らかにした。 第3に、起業家へのインタビュー調査を通じて、起業における新市場・新事業創出プロセスについての探究を行い、そのパターンの特徴を明らかにして、学会報告を行った。本研究では、佐藤善信『企業家精神のダイナミクス』における「企業家的発見」、サラスバシー『エフェクチュエーション』における「新市場の創造」に注目し、5つの上場企業の起業家にインタビューを設計し実行した。今回の5つのインタビュー結果からは、新市場の発見は、A顧客(自らを含む)からの問いかけ・要望・苦情対応というスタイル、B既存業界への反発というスタイル、C将来の大局的な変化というトレンドを見通したビジョン・ドリブンのスタイルの3つを発見した。 【現在までの達成度 (区分)】 2: おおむね順調に進展している  理由: 起業アプローチによる調査研究については着実にすすめることができたと評価できる。特に起業家インタビューでは、新市場・新事業創出のプロセスのポイントを明確にすることができた。しかしながら、エフェクチュエーションの理論の再検討および調査方法の見直しという点では、着手しているものの、まだまだ成果をとりまとめるには至っていない。以上のことから、おおむね順調ではあるが、残された課題も大きいと評価する。 【今後の研究の推進方策】 今後の研究では、引き続き起業家インタビュー、あるいはプロデューサー人材へのインタビュー調査を計画して実行する。同時に、調査手法の開発に努め、エフェクチェーションの理論的深化をすすめられる研究方法の具体化をすすめていくこととする。そのために、起業家研究者との共同研究等を推進していくことも具体化する。
2018.04.01

終了:【科研】強靭な物流を実現するための交通とサプライチェーンの動的スーパーネットワーク解析

【研究実績の概要】 研究実施計画初年度に相当する平成30年度は、地震などの災害を想定した不確実性下でのサプライチェーンネットワーク(SCN)に注目し、ネットワークの強靱性を定義したうえで、SCNの強靭度を定量化することに注力した。 代表的な物資や商品に着目して、SCN特性、すなわち、SCNの形態と諸量(取引量、輸送量、価格、拠点立地など)や、それらの災害による動的な変化などについて、ヒアリング調査を行った。これらの調査結果に、交通ネットワーク(TN)やSCN関連の文献からの知見を併せて、ネットワークの強靭性を定義するとともに、SCNの強靱度算定方法の基礎的枠組みを提示した。強靭度算定手法の開発においては、頑健性(災害への耐性)、時間的回復性(被災からの回復の早さ)、性能的回復性(被災からの回復の程度)を総合的に加味した。対象期間全体でのSCNの総余剰(各主体の利潤と消費者余剰の和)が強靱性を表すことに言及し、SCNの経時的な状態変化を確率変数として表現することにより、不確実性下におけるSCNの多期間最適化の基礎的な定式化と解法を示した。多期間最適化から得られる最適解は、どの期間において確率変数のどの値が生起したとしても、「総余剰最大の状態からの乖離が最小」、すなわち、「強靱性が最大の状態からの乖離が最小」なSCNである。さらに、上述の調査結果に、既存の交通・物流調査の結果を考慮することにより、計算に必要となるインプットデータを作成した。 多期間最適化に関する試算的な数値計算、すなわち、不確実性がもたらす費用のばらつきによって、強靭度が変動することに注目し、最適化モデルを用いた場合と既存の記述型モデルを用いた場合を比較した結果、本研究において定義した強靭度の観点から、最適化手法の有用性を確認した。 【現在までの達成度 (区分)】 1: 当初の計画以上に進展している  理由: 当初の研究計画において、初年度は、次の4項目に着手することとしていた。(1)企業へのヒアリング調査を基にして、代表的な物資や商品について、SCNの形態と諸量(取引量、輸送量、価格、拠点立地など)や、それらの災害による動的な変化、すなわち、SCN特性を明らかにする。(2)これらの調査結果と、TNやSCNに関連する文献の精査に基づいて、強靱性を定義するとともに、(3) 強靱度算定方法の基礎的枠組みを提示する。(4) 上述の調査結果に、既存の交通・物流調査の結果を考慮することにより、次年度以降の計算に必要となるインプットデータを作成する。 「研究実績の概要」で述べたように、本年度において、上記(1),(2),(4)のいずれも、当初の計画通りに進行している。上記(2)と(3)においては、既存文献の成果も踏まえながら、頑健性、時間的回復性、性能的回復性を総合的に加味した定義と算定方法を提案した。さらに、上記(3)については、当初に予定していた、基礎的な定式化と解法を示しただけでなく、作成したインプットデータを用いて、多期間最適化に関する試算も行い、最適化モデルと既存の記述型モデルを用いた場合の結果を比較して、提案した最適化手法の有用性を確認するに至った。 以上より、研究計画との整合性、および、計画時以上の研究の発展性を考慮すれば、本研究は、当初の計画以上に進展しているものと判断できる。 【今後の研究の推進方策】 研究実施計画二年目に相当する令和元年は、強靱度指標の精緻化をはじめとして、初年度に開発した強靭度算定手法の拡張を図るとともに、TNとの相互作用を考慮した動的なスーパーネットワーク解析手法の開発を試みる。ネットワーク上での製造業者、卸売業者、小売業者、消費者、物流業者などの行動を動的に記述し、災害に対するTNやSCNの状態遷移の不確実性を、動的かつ確率的に考慮して、TNやSCNの諸量を導出し、それら諸量を基にして、より精緻に強靭度を算定する。さらに、精緻化された強靱度を基にして、初年度に構築した多期間最適化モデルを拡張する。モデルを用いて、実際あるいは仮想のネットワークを対象に数値解析を行うことにより、SCNなどのネットワークの強靱性を評価する。 強靭度算定手法の拡張や動的なスーパーネットワーク解析手法の開発においては、前年度の調査結果や、数理計画、ネットワーク最適化、サプライチェーンに関する既往研究を参照する。また、開発・拡張した手法から得られる結果と、現実との整合性を確保するためには、あるいは、強靱性や強靱度の現実的な評価のためには、インプットデータや、比較対象となる実現値データの精度向上が必要である。そのために、既存の調査結果や関連文献の精査、ならびに、国内外の企業や関連研究者に対するヒアリング調査を継続的に実施する。 令和元年度には、ネットワークの強靱性を内包したネットワークの最適設計モデルの基礎的設計にも着手する。このモデルは、大規模な組み合わせ最適化問題に帰着し、厳密解の求解が困難であるので、文献調査などを基にして、メタヒューリスティクスなどの有力な最適化手法の適用についても検討する。
2018.04.01

【科研】中小企業における管理会計能力と財務業績の関係に関する経験的研究

本研究は、澤邉・吉永・市原(2015)が提唱した「組織された専門家による観測」手法を確立することでリアリティの高いデータを入手し、中小企業における管理会計能力の財務業績に対する効果を、①どのような管理会計能力が財務業績向上に貢献しているのか(管理会計能力の概念的洗練)、②管理会計能力はどのように財務業績向上に貢献しているのか(メカニズムの解明)、③管理会計能力は財務業績向上にどの程度貢献しているのか(経済的価値の測定)、を明らかにすることを目指すものである。 この目的を達成するため、①先行研究の批判的検討、②定性的な調査を通じた「管理会計能力概念」の洗練およびメカニズムの抽出、③専門家の組織化と観測方法の伝達、④尺度開発、⑤データ収集、⑥データ処理・分析、⑦分析結果解釈・フィードバック、を平成30年度は平行して実施した。 その結果、過年度に実施したパイロットテストから得たデータを分析することで、経営の会計的PDCAを回す能力と財務業績の間には正の相関があるが、業績評価測定システム整備度だけをとってみると中小企業の財務業績とは負の相関を示していることが確認された。これは、業績評価システムを整備するために費やしたコストを上回る成果を上げるためには、会計的PDCAを回す能力が必要であることを示唆している。 また、定性的な調査を通じて、ビジネススクール等で学んだ経営者が移籍することで、内外の環境変化に適応する形で管理会計システムが整備されることで、中小企業においても財務業績の改善が図られていることが確認できた。これは、上層部理論と関連する知見であるが、スタティックな関係ではなく、中小企業においては経営層の知識が経営管理システムのダイナミックな変化を通じて財務業績に影響している可能性を示唆するものである。
2018.04.01

【科研】顧客価値の創造における企業内研究との相互作用に関する定性研究

本研究プロジェクトの2年目にあたる本年度は、昨年に引き続き、4つの研究領域を4人の研究者で分担し、各戸で定性研究のための調査、研究を進めてきた。 これまでの個々の研究者が分担して行ってきた製品開発と顧客価値に関する研究の成果 本年度当初は、2019年度末に研究代表者、分担研究者らの研究成果の中間報告を行うための研究会の実施を予定していたが、新型コロナウイルスによる各種イベントの自粛要請により、研究会の延期を決めた。 そのため、来年度中に改めて研究会の実施を計画するが、対面による研究会実施が難しい場合には、オンラインでの研究会実施も模索する。 宮尾・長内が本年度に実施した大企業におけるスタートアップ事業支援に関する事例の調査は、本研究において新たな顧客価値創造だけでなく、顧客が製品コンセプト開発に果たす役割について大きな示唆があり、Von Hippel教授に代表されるユーザーイノベーションの議論の拡張となるとともに、ユーザーイノベーションと顧客価値創造の統合的な議論が行えそうであるが、まだ十分な検討、議論を尽くしていない。本研究は探索的な研究プロジェクトであり、新たな理論構築のための非構造化インタビュー、半構造化インタビューを重ねてきたが、3カ年では、理論化しきれないが非常に興味深い事例も多数抽出できており、本年度もできる限り、引き続きこのテーマの研究を深めていきたいが、積み残した課題は次期科研費プロジェクトの研究テーマとして研究計画を構想することも企図する。

文部科学省 平成29年度「高度専門職業人養成機能強化促進委託事業」

ビジネススクールのコアカリキュラムはどうあるべきなのか?
〜文部科学省 平成29年度「高度専門職業人養成機能強化促進委託事業」 調査研究テーマ:経営系専門職大学院(ビジネス分野)におけるコアカリキュラム等の実証・改善に関する調査研究〜

京都大学経営管理大学院は、文部科学省 平成29年度「高度専門職業人養成機能強化促進委託事業」調査研究テーマ:経営系専門職大学院(ビジネス分野)におけるコアカリキュラム等の実証・改善に関する調査研究を受託しました(1)。

(1)高度専門職業人養成機能強化促進委託事業推進委員会(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/084/index.htm

本事業では、日本のビジネススクールのあり方について検討しました。日本のビジネススクールの歴史は浅く、ようやく21世紀に入り専門職大学院制度の導入により日本各地で生まれて活動しています。しかしながら、欧米とは異なり、日本の企業の多くはビジネススクール、MBA取得者に対し採用や処遇での評価等で特別な位置づけをしていません。このような雇用システムのもとでは、日本のビジネススクールは欧米とは異なる外部環境に置かれていることを意味し、そこに独自の課題、挑戦すべきテーマがあります。

そして、現代からさらに未来に向けて産業・社会を大転換させる変化が進行しています。このような激変する環境において企業・組織のあり方、働く社会人の働き方も転換が求められています。変化しないものは生き残れないとはいつの時代においても真理ですが、まさに今こそ私たちが確立すべきテーゼであります。

本事業を通じてのおもな主張はつぎの5点です。

  1. ビジネススクールの教育カリキュラムは、変化する経営環境にプロアクティブに対応するように、自らのミッションを明確にして展開されていくべきです(ミッション・ドリブン)。
  2. ビジネススクールの教育カリキュラムは、インストラクショナルデザインのシステム的なアプローチにもとづき、目標-評価-方法の3点が整合するようにシステマティックデザインされるべきです。
  3. ビジネススクールのラーニングゴールはコンピテンシーとして定義され、コンピテンシーを充足するように授業科目が提供・改善されるべきです。
  4. 調査によれば、ビジネススクール等で学ぶことは多くの企業にとって重要な人材育成方法として位置づけられていないけれども、ビジネススクール等に派遣する、あるいは卒業生を受け入れている企業ではその価値を一定認めています。
  5. 調査によれば、ビジネススクール修了生(MBA)は多くのコンピテンシー項目についてビジネススクールで学んだと高く評価しており、かつ、その半数以上が修了後の企業等で生かせる部署やポジションに就いて活躍しています。

本事業の概要(日・英)、および全体報告書(日本語のみ)は下記のリンクからダウンロードできます。

京都大学経営管理大学院ビジネスケースシリーズ

ビジネスケースシリーズは、京都大学経営管理大学院において独自に開発したビジネスケース教材を授業用に提供するサイトです。

  • ビジネスケース教材は、ケースメソッドに基づく授業で用いる教材です。
  • ケース・メソッドとは、ケース教材をもとにして、討論を中心として行う授業方法です。
  • このサイトでは、そうした目的の授業のために、本大学院で独自に開発したビジネスケース教材のシリーズである「京都大学経営管理大学院ビジネスケースシリーズ」を提供し、また、このケース教材は、経営管理大学院教員の提供する授業でおいてのみ、指定・利用することができます。
  • 利用できるケース教材は、大学院の授業で指定されておりますので、ご注意下さい。